一服《その一》
掛軸からちょっと離れ、ひと息。
今回は、寺の日常を守る仏さまについてお話します。
禅宗の寺院では、みなさんが身近に感じる仏さまが祀られているのをご存知でしょうか。
例えば、韋駄天(いだてん)走りで有名な「韋駄天」さま。
その足の速さを持って、あちこち駆けまわってお釈迦さまや僧侶の食事を調達したと言われ、
食べ物を司る大切な仏さまとして、寺の玄関や厨房に祀られています。
同様に、浴室には、沐浴をしていて悟りをひらいたといわれる
「跋陀婆羅菩薩(ばっだばらぼさつ)」が、
東司(とうす)には、トイレの仏さまとして
「烏枢沙摩明王(うすさまみょうおう)」の仏像やお札が見られます。
それぞれの仏さまの姿形、意匠は寺院によってもさまざま。
菩提寺で法事などの機会があれば、お参りを願ってみるのもよいと思います。