心に訪れる
「真の安らぎ場所」
2023年10月5日
今回の掛軸は「微風吹幽松 近聴声愈好」
(びふうゆうしょうをふく ちかくにきけばこえ いよいよよし)
深山幽谷で修行を続ける寒山が詠んだ一節にあり、
私には、秋がぴたりとくるのです。
欲得安身處(あんじんのところを えんとほっせば)
寒山可長保(かんざんながくたもつべし)
微風吹幽松
近聴声愈好
私なりの意訳では、
松にそよぐ風や、虫の音も心地よく、心をむしばむものは何もない。
こんなよい場所はない、ここはいいぞ。
そんな感じでしょうか。
晩夏の本堂で、戸を開け放してお経を読んでいると、
蝉の声がますます大きく、負けじと大合唱になることがあります。
そんな時にふっと風が通り、涼やかな空気と声が融合する瞬間。
その心地よさ、なんと言えばよいのでしょう。
求めて行かなくとも、ここがすばらしい所じゃないか。
まさに「微風吹幽松 近聴声愈好」が思い浮かぶのです。
この句も、人によって感じ方やイメージはさまざまで、
それぞれの経験によって味わいが一層深まるものだと思います。
※出典「寒山詩」
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